虚空のマイケル

クラウン・マッターホルンの神造山脈と虚空のマイケル

4-23:第1ポイント 森林地帯

*** 「無事のようだな、茶色」  やわらかな草の上で仰向けになっていた茶色いマイケルは、青く広がった空の片隅に灼熱のマイケルの姿を見た。  紫外線ゴーグルをおでこに上げ、手で庇ひさしを作って辺りを見渡している。いつもはボロボロの服を着てい...
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4-22:降下

***  超ネコ気球から降下を開始した茶色いマイケルは、大気に厚みを感じながらドロップゾーンを確認した。  目に映っているのは円環状の山脈。  そう、横に長いとばかり思っていたクラウン・マッターホルンの本当の姿は、王冠みたいに丸く連なってい...
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4-21:教練

***  神造山脈クラウン・マッターホルン。  ノコギリ形の稜線とクリスタルの輝きをもつ、恐ろしくも雄大な山脈は、標高で言うと1万メートルを底辺にして、そこから聳えている。地上最高峰の山でも1万メートルを下回るっていうんだから、さすが神さま...
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4-20:4匹の役割

***  つい、爪が出る。  いくつかの顔が、脳裡をかすめる。  そこへ2匹のマイケルが焦りにも似た表情を向ける。懇願するような視線だったから驚いちゃったけど、おかげで大空ネコさまの突然の提案に飛びつかずに済んだ。 『君たちは欲がないねぇ』...
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4-19:時

***  大空ネコさまは占拠されたミニチュア・クラウン・マッターホルンに背を向け、3歩進んで伸びをした。  いや、伸びじゃない。さっきまで他の神ネコさまとそうしていたように、身体を擦りつける挨拶をしているんだ。  それがどんなネコなのかは分...
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4-18:呪い

***  空ネコたちは普段から頻繁にクラウン・マッターホルンを出入りしていたらしい。 『僕は基本、空ネコたちの営みに直接手を出さない。権能の提供はしても、資材集めやそれを組み立てたり崩したりするのはネコたちの責任だ。だからクラウン・マッター...
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4-17:来空

###  風の神がどうして鏡を割ったのかはわからない。  神世界鏡はどの神にとっても大事なもので、もちろん風の神だって大切にしていたんだからね。悪戯好きだったのは誰もが知るところだけど、まさかケラケラ笑ってどこかへ行っちゃうなんて。まるきり...
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4-16:贈り物

*** 『大空には力があった。  だけどとても寂しい場所でね、鳥は鳴けどもネコ1匹いやしない。  僕の力を使えば今みたいにネコを浮かすことは出来た。簡素な食べ物を作ることだってできる。でもそれだけじゃあネコたちは暮らせない。家を建てる資材が...
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4-15:空と大地

***  茶色いマイケルの身体がふわりと浮かぶ。 「俺たちはこれから大空ネコ様の記憶を観るために、神体の中に”落ちる”ことになる。死にはしないが負荷が強いので気をしっかり持ってくれ。心を落ち着ければ負荷も無くなるから、リラックスできるポーズ...
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4-14:首輪

***  変化は劇的だった。  まず目に飛び込んできたのは、果実のマイケルを赤く染めていたものがキレイさっぱり無くなった事。毛は元通り白くなっていた。元よりも白くなっていたかもしれない。  次に、灼熱のマイケルの身体から、さっき起こったこと...