4匹のマイケル

あわあわの世界

(129)10-4:価値と主

■■■  儀式は神聖である。  神聖であることは美しく、いっぽうで美とは欠けたもののことをいう。  その記憶はいたるところが欠けていた。  ――まぶたが開かれる。  見つめていたのは右の義手。親指、猫さし指、...
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(128)10-3:傷の向こうには

□□□  価値ある美にはいくつもふれてきた。  しかし、朝露のような瞳で愛を語るエイファと、それを支えるチュルクの姿を、なによりも美しいと感じてしまうのだ。並んで微笑みかける2匹を思うだけで温もりが内から湧いてくる。なぜこうも...
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(127)あわあわの幕間3:輝く白毛の民 ケマール③ 砂漠の獣

■■■  毎日が穏やかに繰り返される。  気の利く息子ネコのいなくなった生活は、様々な不便と共にそこにあったはずのものを思い起こさせ、物悲しい気持ちにさせる。砂漠の風のようだ。乾き、そして砂を生む。  とはいえそんな砂漠...
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(126)あわあわの幕間3:輝く白毛の民 ケマール② パンガー・タッシデルミア

■■■  ケマールの息子ネコであるチュルクは、幼い頃から母をよく助け、目端の効く良い子ネコだった。  食事の支度などを見ていればよくわかる。次に何をしなさいと言わずとも、母ネコの視線や日々の習慣から先回りをして動き、困りごとに...
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(125)10-2:並走ネコダッシュとネコの芯

***  トムとチムが奇声をあげると透明な爆撃が道を吹き飛ばし、すぐ右側で光が飛沫をあげた。  マークィーが懸命に避ける。けれど、そこへケマールさんが射掛けるものだから防御もままならない。10を超える攻防の中で、4匹は少なから...
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(124)10-1:星の芯へと至る道 キッツ・コティ・ローグ

□□□  砂を恋しいと思う日がくるとは。  過ぎ去る景色のあまりの速さに、ケマールは時折、長い瞬きをした。潰れた右目の肉を撫で、見えていればこの景色も目で捉えることが出来ただろうかと、仕様の無いことを考える。  奇妙な場...
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(123)あわあわの幕間4:外交官ネコ マルティン⑤ 大空の約束 後編

♧♧♧  戦いは終わり、集まっていた神たちももういない。  マルティンは、ケーブ・ライオーネルの荒んだ景色の一点に、静かにたたずむ場ちがいな青空を見つけて、息を整えながら歩み寄った。  どう声をかけたものか。ギリギリまで...
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(122)あわあわの幕間4:外交官ネコ マルティン④ 大空の約束 前編

♧♧♧  銀色の森を駆ける1匹のネコがいた。  木々の激流には目もくれず、正面に聳(そび)える巨木を目指していた。しかし、根本へたどり着くにはあとどれだけ地を掻けばいいのだろう。いっこうに近づいてくる気配がないのだ。  ...
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(121)9-14:大空の断罪

***  赤錆びた土の上。横たわる獣からゆらゆらと黒い靄がのびていく。子ネコたちは正面に降り立ち、その様子にじっと目を向けていた。  静かなものだ。辺りはこざっぱりとしていて宙に浮いていた機械球はもう見当たらない。ねじれた柱も...
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(120)9-13:雷雲ミュージアム

***  暗闇に目が慣れてくると、正面の壁にはいくつかの絵が飾られていることに気がついた。  油絵は大きな額に入っていて、幅の広い額縁には水の流れや風などの自然を表現したものが彫られている。どれも活き活きとしていて華やかだけど...
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