ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-11:ホロウ・フクロウ

***  ホーウ、ホーウ  あざ笑うように悠々と翼をはためかせ、辺りを一望できる樹のてっぺんに片脚で降り立った、ホロウ・フクロウ。  燃える炎の子ネコをつかむもう片方の脚を、器用に持ち上げていた。  木々のすき間を埋めるほどの巨体。  遠巻...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-10:フクロウの群れ

***  ホロウ・フクロウの林に踏み込むとすぐに、2匹の子ネコは鼻を両手で覆った。10メートルも進まないうちだった。  そしてその時、勝手に爪が出てきた。  ネコの爪は出し入れ出来るんだ。爪を研ぎたいときに出して、引っかきたくない時にしまえ...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-9:『くらぁい くらぁい おおきな もり』

***  ご先祖ネコ様の丘へのぼる道。  ゆるやかな坂道がかるく盛り上がったところで、左右には林が広がりだす。その奥には子ネコの秘密基地があちこち散らばっている。 「スノウ・ハットに住む子ネコにとって秘密基地は特別なんだ。だからもし見つけた...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-8:あとおし

*** 「ホロウ・フクロウの大森林。そこに冒険があると?」  茶色いマイケルは、肉球のあとがつきそうなほど、強くヒザをつかむ。そしてうなずいた。 「スノウ・ハットの子ネコたちは、あの林の奥に入っちゃダメだって、ちっちゃいころから教えられてい...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-7:熾火

***  だけど燃える炎の子ネコの年齢を聞いたとき、茶色いマイケルはぴくっと耳を尖らせた。  ちっちゃくて、声が高くて、物知りな、そんな子ネコは茶色いマイケルと同じ歳だったんだ。  少し上でも、少し下でもなく、同じ歳。 *** 「ワシはさら...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-6:雪と氷の女神さま

*** 「そんな! 雪がしゃべるはずがないじゃないか!」 「そう、誰もがそう思っていたのだ。耳を寄せて聞いていてもなお」  燃える炎の子ネコは腕を組み、噛みしめるようにうなずいた。その様子を見守るのは、いつしか茶色いマイケルだけじゃなくなっ...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-5:ご先祖ネコ様の冒険

*** 「ワシの国に伝わってきた話だから、お前の知っている話とは違うかもしれない。もし違っていても気を悪くしないでほしい」  そう断ってから燃える炎の子ネコは話をしてくれた。氷の神殿の中で、ご先祖ネコ様の氷像を見ながらのことだよ。 「スノウ...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-4:燃える炎の子ネコ

***  実際、燃える炎の子ネコはいい子ネコだった。  迷子の子ネコの相手をする様子を見ていると分かるよ。とても温厚なんだ。  子ネコってさ、興奮してくると言いすぎちゃったり、やり過ぎちゃうことがあるんだけど、そういうのを全く気にしない。 ...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-3:迷子の子ネコセンター 

***  毎年、氷と雪の祭典スノウ・ハットの時期にだけ教会のわきにテントが張られる。  迷子の子ネコセンター。  受付さえ済ませれば、ネコ放送をしてもらえるんだ。  ネコ放送っていうのはね、教会の前にいる放送ネコさんが、スノウ・ハット中に散...
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

2-2:屋根から生えた脚

***  誰だろう、すっごく高い声。  茶色いマイケルはヒゲと耳に集中した。長いヒゲが 空気の流れをとらえ、耳がそれを読みとり、頭の中でいきものの輪郭を浮かび上がらせる。  少し変だったんだ。いつもなら声の方向くらいは分かるのに今回はぼやけ...