あわあわの世界

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(18)5-4:巨大スラブ襲来

***  その『巨大スラブ』に乗っていたのは『マタゴンズ』だけじゃなかった。岩にびっしりと生えた苔みたいに、大勢のネコたちが乗っていたんだ。 「いかん、またぶつかるぞ!」  一度ぶつかって離れた巨大スラブはまた、子ネコたちの乗るスラブにその...
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(17)5-3:クラウン・マッターホルンの神ネコたち

*** 「ホントに戻って行っちゃったね」 「ああ、いったい何がしたかったんだろうか。情報交換と言うにはこちらばかりが得をしたような」 「どぉだろうねぇ。オイラたちの見た目とか性格とか、そういうのを調べてたっていう可能性もあるかもよぉ?」 「...
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(16)5-2:鬼ネコ面(般ニャ)

***  本戦受付会場である洞窟を一歩出るとそこは、青色の世界だった。  暗くて静かでわずかに青味がかった果ての見えない暗闇の世界。  その中を照らしているのは”濃い青”と”薄い青”、2種類の青の存在だ。  この2つの青がそれぞれに流線形の...
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(15)5-1:地核ネコさま

*** 『本選出場者登録完了いたしました。それではこちら、予選入賞者への賞品でございます。チームでの出場ですので4匹分、ご確認ください』  受付ネコさんはガラス越しにぺこりとお辞儀をした。  ここは洞窟の中。  見上げるほど高い天井には規則...
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(14)あわあわの幕間1:ある美しい山に生まれた馬

***  言葉を持たない動物の思考。  それは、鮮やかな夢を見せられているようなものだ。  行動するために必要な判断はすべて、”感覚”というシンプルな、ひと塊のパッケージとしてまとめて受け継がれており、だから風に吹かれて走り出すときも、目に...
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(13)4:宝石の海

***  広場にあった大噴水が地核ネコさまに踏み潰されてできた、この大穴。  ネコたちは1万匹くらいいたから、広場はかなりの面積だったはずだ。だとしたら、その面積分は頭上にぽっかりと穴が空いていないとおかしい。  まぁ、茶色いマイケルたちは...
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(12)3-2:恩には恩を

*** 「うおっ、なんだ俺たち浮いてるのか!?」 「いや、まだ落ちてるね。でもケツの穴がムズムズしなくなってる」 「ハハッ! ある程度勢いがつくとこんな風に感じるんだなぁ、初めて知ったぜこれが無重力ってやつか」 「不思議な感覚だよねぇ、まる...
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(11)3-1:さ、始めましょう

***  ピリッと引き締まる会場の空気。  ざっと見渡しただけでも一万匹はいるネコたちのしっぽが一斉に緊張を帯びると、茶色いマイケルたちの後ろにいた動物たちが警戒心をむき出した構えをとった。  茶色いマイケルは小声で「心配いらないよ」と馬の...
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(10)2-3:白ユキヒョウ

***  空の上を歩くような足取りで、音を立てずに近づいて来る大型の肉食獣の器。  割れた猫混みが元に戻ると、好奇の目がその一点に注がれる。  だけど、 『なにかしら』  チラッと頭を左に倒し、振り返る動きを見せただけで猫混みからは音が消え...
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(9)2-2:白い群れ

***  茶色いマイケルの中に少しのわだかまりも無かったかと言われればウソになる。  あの時、風ネコさまが茶色いマイケルたちを『風の獣』から落とさなければ、大空ネコさまの権能を使う事も無かったし、それによって大地の神さまを起すことも無かった...