あわあわの世界

あわあわの世界

(136)11-5:刻まれた物語

***  祭壇へと続く階段の下は、あわあわの大渦からの開放を待つ神ネコさまたちで溢れていた。  そんなところに、星の芯をぐるっと回り込んできた茶色いマイケルたちが姿を見せたものだから、騒然とするのも無理ははない。たちまちのうち...
あわあわの世界

(135)11-4:迷い込んだネコたち

***  その来訪者ネコは、窪みの中をのぞき込むなり、音を立てて舌なめずりをした。  茶色いマイケルはひざを抱えたまま後ずさり、雪をかぶった冷たい壁に、背中を預けた。怖くてすぐには立ち上がれなかったんだ。思い出したように足の爪...
あわあわの世界

(134)11-3:窪みの中で

***  暗がりの奥で、茶色いマイケルは小さな白い息を吐いていた。ここは星の芯の裏側にある窪みのひとつ、うっすらと雪の積もった氷の洞窟だ。  白のユキヒョウに連れて来られた時は、ティベール・インゴッドを秤の上に置くことができな...
あわあわの世界

(133)11-2:『聖秤フェリス』

***  祭壇は、星の芯を背景にして子ネコたちを待ち構えていた。  それは光り輝く巨大な猫の像。輝き方が同じだからか、離れて見ると地核ネコさまが横たわって寝ているように見える。その背中には長くて立派な末広がりの階段がかけられて...
あわあわの世界

(132)11-1:戸惑い

***  激しく上下する胸をなだめるように撫でさすり、周りを見渡せばそれはもう賑やかな景色に取り囲まれていた。  銀色のアーチを越えた先、ゴール地点になっている広場には青みがかった光が敷かれ、おびただしい数の神ネコさまたちがつ...
あわあわの世界

(131)10-6:始まりとゴール

□□□  あれからどれくらい経ったのか。  周りには何もない。  この真白な世界の中では、時の感覚は曖昧すぎて頼りにならなかった。キャティの首に噛みついたのが今し方のような気もするし、骸が風化して、塵も残らぬほど経ったと...
あわあわの世界

(130)10-5:傷だらけのお父さんネコ

*** 『あまぁい。世界は大きな流れの中にあるんだよ。凡ネコ1匹あがいたところで何も変えられやしない。分かろうが分かるまいがおんなじ事、痛みに際限はないのさ。だったら苦しむだけ損だろう』  一瞬、声が下を向く。 『叶わな...
あわあわの世界

(129)10-4:価値と主

■■■  儀式は神聖である。  神聖であることは美しく、いっぽうで美とは欠けたもののことをいう。  その記憶はいたるところが欠けていた。  ――まぶたが開かれる。  見つめていたのは右の義手。親指、猫さし指、...
あわあわの世界

(128)10-3:傷の向こうには

□□□  価値ある美にはいくつもふれてきた。  しかし、朝露のような瞳で愛を語るエイファと、それを支えるチュルクの姿を、なによりも美しいと感じてしまうのだ。並んで微笑みかける2匹を思うだけで温もりが内から湧いてくる。なぜこうも...
あわあわの世界

(127)あわあわの幕間3:輝く白毛の民 ケマール③ 砂漠の獣

■■■  毎日が穏やかに繰り返される。  気の利く息子ネコのいなくなった生活は、様々な不便と共にそこにあったはずのものを思い起こさせ、物悲しい気持ちにさせる。砂漠の風のようだ。乾き、そして砂を生む。  とはいえそんな砂漠...
タイトルとURLをコピーしました