4匹のマイケルとあわあわの世界の幕間劇です

(127)あわあわの幕間3:輝く白毛の民 ケマール③ 砂漠の獣
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毎日が穏やかに繰り返される。
気の利く息子ネコのいなくなった生活は、様々な不便と共にそこにあったはずのものを思い起こさせ、物悲しい気持ちにさせる。砂漠の風のようだ。乾き、そして砂を生む。
とはいえそんな砂漠...

(126)あわあわの幕間3:輝く白毛の民 ケマール② パンガー・タッシデルミア
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ケマールの息子ネコであるチュルクは、幼い頃から母をよく助け、目端の効く良い子ネコだった。
食事の支度などを見ていればよくわかる。次に何をしなさいと言わずとも、母ネコの視線や日々の習慣から先回りをして動き、困りごとに...

(82)あわあわの幕間4:外交官ネコ マルティン③ 急報
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マルティンがその一報を受けたのは深夜2時前、自宅の寝室でのことだった。
毛玉飾りのついたナイトキャップを鷲づかみにして、
「ばかなっ!!」
と外務省の上役に食ってかかる。宙に浮かんだホログラムネコデバ...

(81)あわあわの幕間4:外交官ネコ マルティン② 黄昏のリーベ・レガリア
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「いつ見ても完璧な景色だ」
「どうかすると嫌味にしか聞こえないセリフだが、君が口にするとそうは聞こえないなリットン」
「当たり前だろう、心からそう思っているんだから」
黄昏た雲にほど近い、レガリアネコタワ...

(75)7-9:つよく、優しい雲
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リーディアの物語には省かれたシーンがある。
厄災に心を痛めて立ち上がったリーディアは、しかしまもなく仲間に裏切られ、剣を奪われ果てのない暗闇に落とされてしまうのだ。
寒さ。飢餓感。震えるばかりの、絶望。
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(74)あわあわの幕間:リーアの弱さ⑧ 雲のない、カラッとした空気の、とっても気持ちのいい日
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満天の星空の下、円形野外劇場の舞台に立つ私。
星を遮りながら流れていく雲が悪者に見えてしまって、口の中が苦くなる。
閑散とした客席。整備の行き届いていない舞台下。そよぐ風に揺られているのは公演休止のお知らせ...

(73)あわあわの幕間:リーアの弱さ⑦ 私のリーディア
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照明の絞られた舞台の上は、夜霧の荒野を思わせた。
寒い。
小ホールに空調機能はないのだけど。
カルティアさんとアルド、2匹はそれぞれのやり方でリーディアの強さを見事に演じてみせた。次は私の番だ。私は...

(72)あわあわの幕間:リーアの弱さ⑥ 彼女たちのリーディア
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『おい、そこな襤褸(ぼろ)を纏った旅ネコよ。この大地はすでに死んでいる。呪いだ。呪いの砂時計はもう世界に終わりを告げている。お前にも見えているはずだ。ならばなぜ無駄と分かって種をまく』
円形野外劇場、地下小ホール。
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(71)あわあわの幕間:リーアの弱さ⑤ 『ネコネコ大戦』
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『ネコネコ大戦』
それは歴史の教科書において、まるで一人称のボクやワタシのようにほとんどのページに出てくる単語。それだけ深くネコたちと関わりがあり、長く続いた争いというわけだ。
早朝トレーニングを終えた私は...

(70)あわあわの幕間:リーアの弱さ④ 戯曲『幸せをまいて歩くネコ』
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その戯曲は、呪われた大地に種をまく『リーディア』が、「ムダなことはやめろ」と声をかけてきたアレッシオに厄災の日々を語り聞かせる場面から始まっている。
リーディアは、大切なものを喪(うしな)ったことで真実を受け入れ、...