2-3:迷子の子ネコセンター 

ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル

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 毎年、氷と雪の祭典スノウ・ハットの時期にだけ教会のわきにテントが張られる。

 迷子の子ネコセンター。

 受付さえ済ませれば、ネコ放送をしてもらえるんだ。

 ネコ放送っていうのはね、教会の前にいる放送ネコさんが、スノウ・ハット中に散らばった他の放送ネコさんに向けて、迷子ネコの特徴を大声でしゃべりかけるんだよ。それなら遠く離れていても、何匹かのネコを経由すれば声は届くからね。

 声を届けたあとは、放送を聞いたネコたちが協力して、迷子ネコやその親ネコを探し出すのさ。特に子供たちは探し物遊びが大好きだから大盛り上がりなんだ。

 無線機もあるにはある。でも電波がなぁ。あれ、ピリピリしない? 滅多なことがないと使わない。

 その点、放送ネコさんたちの声は大きいのにとっても澄んでいて、まるで歌っているみたいなのさ。放送を楽しみに待っているお年寄りネコを、茶色いマイケルは何匹も知ってる。

 そんな便利なネコ放送だけど、ちょっと不便なトコもあるんだよね。

 あちこちで迷子の放送を受けちゃうと、こっちで迷子、あっちで迷子、どっちで迷子? っていう風に、ごちゃごちゃになっちゃう。

 そうならないよう受付は一つしかないんだ。

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 迷子の子ネコの両親ネコは、放送ネコにお願いするまでもなく迷子の子ネコセンターで待っていた。姿を見つけるなり、子ネコがにゃーんと泣き出しながら駆けていく。ずっと泣かなかったのに。えらいね。

 両親ネコは、茶色いマイケルたちに頭を下げて何度も何度もお礼を言ったよ。何かお礼をしたいって言ってたけど、

「じゃあ、この子に何か買ってあげてよ。スノウ・ハットに来た、良い思い出になるものをさ!」

 って、断ったんだ。恰好つけたかったわけじゃないからね。

 泣き疲れて眠そうな子ネコに手を振ると、目をこすりこすり、小さな肉球で頼りなく手を振り返してくれた。茶色いマイケルは「よかったね」って、子ネコを起してしまわないよう、心の中で言ったんだ。

「じゃあなボウズ! 今度は一緒に冒険しよう!」

 あっ、茶色いマイケルが変な顔!

 大きな声で呼びかけたのは、隣で腕を組んでいた燃える炎の子ネコだ。まったくもう、眠りかけてた子ネコが起きちゃったじゃないか。

 だけどさ、子ネコも、

「うん! ボクまたらいねんくるから、そしたら一緒にあそんでね! またね、茶色のお兄ちゃん! 声の高い子ネコ!」

 って。すっごくうれしそうな顔で手を振ってた。ここに来るまでに随分仲良くなってたからね。特に燃える炎の子ネコとはずーっとしゃべってた。

「こ、こえの……」

 面倒見がいいみたいだ、隣でショックを受けてるこの子ネコ。

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