メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-19:甘い夢 ### メロウ・ハートの『甘い夢』 それが歴代最高の女優ネコの呼び名でした。この方はサビネコではありません。クリーム色の柔毛に、鼻の先からそっと薄墨を染みこませたようなポインテッドの美しい顔。淡いブルーの瞳による蠱惑的な流... 2021.03.03 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-18:メロウ・ハートの成立 ### 元々、サビネコの多いさびれた町でした。 遠い昔、大きな街道から外れていたこの町は、中継地としてはとても不便な場所だったのです。流通経路はなく、食料も、情報も、若ネコも、新しいものは何も入ってこない。住民ネコたちは、... 2021.03.02 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-17:店主ネコの実力 *** 「えぇ? 実みは足りてるんだよねぇ?」 「ええ、十分に」 「じゃあどうして!?」 立ち上がった茶色いマイケルへの返答は、変わらない笑顔だった。 「店主、やはり貴様何かおかしいな。さっきの話もそうだ。... 2021.03.01 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-16:果実の持つ実 *** 果実のマイケルは、肩掛けカバンの口を開いて何かの実を取り出した。 「それってシチューに入ってた実?」 茶色いマイケルが身を乗り出すようにして訊くと、「そぉそぉ」と言いながら立ち上がり、カラバさんにその実を渡す... 2021.02.28 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-15:あわあわの世界の入り口 *** 「正確な情報は私どももつかめておりません。なにぶん流通経路がいくつも断たれており、情報も入りづらくなっておりますので。とはいえ果実のマイケルさんのおっしゃることは事実としてお受入れ下さい。世界は安定性を欠き、不安に駆られたネ... 2021.02.27 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-14:果実の目的 *** 大空の国にあるもの。 カラバさんが初めに教えてくれたのは肥料だった。大空の国の肥料といえば、農業をしているネコにとってはよだれが出ちゃうくらい欲しいものなんだって。育てた植物が2倍も3倍も元気になって、種なんかもう... 2021.02.26 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-13:時間の支払い *** 「となると次は、どうやって『大空のマタタビ』を5枚貯めるか、だな」 うん、とうなづきかけた茶色いマイケルだったけど、カラバさんの雰囲気が変わる。ちっとも動いていないのに、目を離せなかったんだ。 「それには及びま... 2021.02.25 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-12:大空のマタタビ *** 爪と牙とを剥き出しにしたものの、灼熱のマイケルはぐっと堪える。 「……それが最善だった、と?」 ぐつぐつと煮えたぎる熱湯のように押し殺した声。茶色いマイケルは微笑んだままのカラバさんへと目を移す。でも口を開い... 2021.02.24 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-11:『長靴を売ったネコ屋』 *** メロウ・ハートの入口から円形野外劇場へとつづく、荒廃した大通り。 その道を歩いていると、左側、崩れた家々の向こうにも通りがあることに気づくんだ。瓦礫の散乱する小道に入っていくと交差点に行きつく。その角にお店はあった... 2021.02.23 2021.02.24 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル
メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル 3-10:子ネコの事情 *** 「ん、うまいな。鶏肉しか用意しておらんかったが、こんな実どこから持ってきたんだ?」 それはシチューの中身。小麦粉と牛乳は分けてもらったけど、クリーム色のシチューの上にぷかぷか浮かんでいるこの、丸くて柔らかな実には覚え... 2021.02.22 2021.02.24 メロウ・ハートの廃都市と果実のマイケル