最終章 ティベール・インゴットとあわあわの世界。そして4匹のマイケル

あわあわの世界

(48)あわあわの幕間5:サビネコ兄弟とピサトの残り火② 火葬場

***  フレイルが『ピサトの残り火』に襲われたのは、ハチミツとコハクが久しぶりに帰ってきた晩のことだった。  日も暮れる間際、『治安維持ネコ部隊』の教育課程を終えて帰ってきた2匹をねぎらうために、自分では飲まないマタタビ酒を買いに行ったフ...
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(47)あわあわの幕間5:サビネコ兄弟とピサトの残り火① 踊り

***  ハチミツとコハク。2匹のサビネコ兄弟がまだよちよち歩きの子ネコだった頃から、祖父ネコのフレイルはことある毎にこんな話をしていた。 「ネコってやつはなぁ、生まれてすぐに”常識”っていう心の種を植えられるんだ。俺の中にもあるし、お前た...
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(46)6-15:灼熱流

***  芯をとる。  それは自分を一つの器としてとらえ、その中心となる点に光を感じるようなイメージだ。つまり、自分以外のものの芯をとるには、両方を1つの器として感じる必要がある。  器の中には何かが入っている。『スラブ』の芯をとろうとした...
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(45)6-14:『トルトラード・ミーオ』投下

***  殺到する『ネコ・グロテスク』を泡にしていくマタゴンズたち。  ただし、押し寄せてきているのは大通り側だけじゃない。反対側、『路地の出口』にも回り込まれていた。 「ったく、あの紳士ネコかぶれ、あちこちから連れてくるだけ連れてきて。今...
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(44)あわあわの幕間4:外交官ネコ マルティン① エリートネコ街道

*** リーベ・レガリアにマルティンあり。 眉目秀麗、毛並みはしなやか、通りすがりにウインクでもしようものなら照れ隠しに視線をそらされる。そんな美男紳士ネコのサバトラ模様が今日もこの街を闊歩する。 という夢想にとっぷりと浸りながら、マルティ...
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(43)6-13:お騒がせマルティン

*** 「いやぁ助かりましたよ、早めに目が覚めたのでモーニングカフィを飲みながら『さぁいくぞ』と気合をいれたところで、あの物凄い音がしたでしょう? しかも、パジャマを脱いでいると火の手が迫っているという知らせですよ、慌てた慌てた! 道すがら...
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(42)6-12:教科書はもう開いたかしら?

***  追体験。  それはこの場合、ネコ・グロテスクの味わった苦痛の日々を、そっくりそのまま、わずかな時間のうちに経験させられることを意味するのだとか。 「あのネコたちの経験、それも苦痛だけを切り取ったとびきり濃い経験よ? それはもう”残...
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(41)6-11:『ラット・キャット』の痛み

***  『ネコミイラ』に『ネコゾンビ』、様々な拷問具をつけられた『トルドラード・ミーオ』たちと周りを囲む『黒外套』。  『ネコ・グロテスク』たちは何かを求めるように『大通り』を練り歩いている。その身体に触れて”芯をとる”ことで、ネコ・グロ...
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(40)6-10:グロテスク・カーニバル

***  大通りに降ってきて、地面にドスドスドスと突き立ったのは、無数の『棺』。  外装は金色を基調とした豪華なもので、”胸の前で手を組んだネコ”を模して作られている。その棺が、木の擦れる嫌な音を立てて、ゆっくりと開いていった。中に入ってい...
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(39)6-9:ネコ・グロテスク

***  ぐぇぽっ  涙を流しながら吐しゃ物をまき散らしたのは果実のマイケルだ。  道の端にうずくまり、虚空のマイケルに背中をさすってもらっている。  茶色いマイケルに飛びかかってきた子ネコはもういない。灼熱のマイケルが力いっぱい抑えても暴...